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スポーツバイク・ハイロード
「シマノ・テクニカルセミナー&ミズタニ自転車・展示会」

作成2009/01/16

14日水曜日は休日だったので朝から東京赤坂で行われた、「シマノ・テクニカルセミナー」と、同所で行われた「ミズタニ自転車・展示会」に参加してきました。


1)大変有益だったシマノセミナー

(残念ながら写真を取り忘れました・・・)

シマノは2009年に向けて新型ロードパーツセット(コンポーネント)「デュラエース7900系」を発表しています。また、マウンテンバイクのパーツでもいくつか新しい製品が有ります。今回のセミナーはそうした新しい製品の特徴や組み付け時の注意点、従来品との互換性などの技術情報を主に教わってきました。また、「心臓の動きの見えるサイクルメーター」と銘打って発売された「サイクリンク」の紹介も興味深いものでした。

厖大な情報なので、自分にとってとくに印象深かった一部だけ抜粋で掲載します。


1−1)7900系のフロントドライブシステムは完全別規格になりました
7900系ではフロントの2枚のチェンリングの間隔が広げられているので、従来のフロントメカ・STIレバーとは互換性が有りません。逆に従来規格の各社のクランクセットを残したまま7900系のSTIレバーなどを導入することも困難です。

シマノの技術担当さん曰く「フロントの歯先間隔を広げることには様々な問題点が有ったがそれらをすべて克服することで、より確実でスムーズなフロント変速を実現しました」そうです。

一例として、より広い歯先間隔だと隣のリングへのチェーンタッチがおきにくいのでそのぶんしっかりしたチェーンスパイクをアウターリング内側に設置することができ、アウターへの上がり変速がより確実になっています。

また歯先の間隔拡大でヨーロッパ選手から要望の多かった「トップトリム操作不要」という機構を実現しました。プロは走行時間の8割をアウターギヤで走っているが、その際にリヤをロー側に変速してゆくと従来はフロントメカでチェーンタッチが起こり、そこで異音・抵抗が生じるのを防ぐためにフロントメカを少しだけ動かす「トップトリム機構」が設けられ、乗り手はいちいちその操作を強いられていたのですが、選手からはこれが煩わしいという声が出ていたのだそうです。


1−2)チェーンの形状を細部まで見直して駆動効率、変速効率を向上させました
7900系のチェーンではチェーンに左右の区別があり、左右のアウタープレートそれぞれについて形状に工夫が凝らされています。
 進行方向右側(車体外側)のプレートは別名「フロント変速用アウタープレート」といい、単なるピーナツ型ではなく各部が肉抜きされていびつな形をしています。この肉抜きによってフロント変速時のチェンリング歯先との有害な干渉を無くして変速性能を向上させ、またインナーリングで時折起きる「噛み込み」現象を減少させています。
 進行方向左側(車体中央側)のプレートは別名「リヤ変速用プレート」といい、ピーナツ型の先端がカド取りをしていない形状になっています。そしてこの部分がなんとリヤスプロケットの肉抜き部分とぴったりはめ合うことでリヤのスムーズな変速を誘導しているのだそうです。

これらの細部形状の見直しでチェンにかかる有害なストレスが減ったことから、駆動効率・変速効率がよくなるだけでなく、チェーンの耐久性も向上しているそうです。なお、かりにチェンの左右を間違えると、とりわけリヤの変速性能が著しく落ちるそうです。


1−3)リヤ28Tを使うときはチェーン長さ設定に注意
28Tの時だけ、長さ設定はマウンテンバイクとおなじ方式で行うことになりました。つまりリヤメカを通さずに前後とも一番大きなギヤにチェンをかけ、その長さにリンク二つ加えた長さが適正とされています。シマノのメカニックさんは「ダイ(大)・ダイ(大)・プラス・ツーリンク」という語呂合わせを使っていました。

なぜ28Tの時だけこんな面倒なことにしたのか、これはシマノ技術陣のあいだでも議論があったそうなのですが、要するに本来のコンポの性能である重量と変速性能、チェントラブルの低減といった要望をより突き詰めるためにやむを得ないことであったということです。
つまり、28Tで従来のチェン長さ設定作業ができるようにリヤメカ等の設計を行うと、リヤメカの(プーリーケージの)サイズが大きくなりそのためにチェンがムダに長く(重く)なる、またその結果プーリーケージのばたつきやチェントラブルの危険がムダに大きくなる、そういった犠牲を伴うことになるのだそうです。

ところで28Tのスプロケットで長さを合わせたチェーンの車体に、借り物の車輪などで27Tや25Tのスプロケットのホイールを入れるとどうなるか。気になったのでシマノ相談窓口に問い合わせてみました。回答は、「チェーンが若干長めになりますが通常は問題は生じません」ということでした。また、念のために聞いてみたのですが「28Tを付けた車体で誤って従来のロードコンポ式にチェンの長さ設定をしてしまった場合、28Tでの正しい手順で設定した場合に比べてチェーンは長くなります」とのことでした。


1−4)STIレバーの取り付けの各種注意
◆ハンドル取り付けバンドに使われる長ナットに挟まれている四角い座金は真四角ではなく、正しい取り付け位置が決まっています。取り付けの時は座金の”マルポチ”マークに注意する必要があります。なぜこんなことになっているかというと、部品の複雑さ(=コスト)と重量を突き詰めた結果、組み付け時に注意を要する構造にするということになったそうです。ぎりぎりのところで激論しながら細部までデザインして作られているのだそうです。

◆STIレバー取り付けバンドの位置が従来と大きく異なります。従来と同じ位置にバンドを持ってくると掌が乗る位置が大きく変わってしまいます。セミナーでは「ハンドル沿いに10.56mmバンドを上に持ってくると掌を載せる位置がだいたい従来と同等になる」という紹介がなされていました。

この結果、ニットーやデダなど一部ブランドで発表されている「シマノレバー専用」として取り付け位置が指定されているハンドルの多くで従来のようにうまく取り付けができない事態が起こるのではないかとハイロードでは考えています。組み替えには十分な注意が必要でしょう。


1−5)ブレーキレバーの形状がよくなりました
掌に対するブレーキレバー軸の位置がより近くなったので手の小さい人でもレバーをより握りこみやすくなったそうです。また軸の位置がより親指側に近く(=車両先頭側に寄った位置に)なったので、小指寄りに位置するレバー末端側は掌に向かってより直角に近い角度で近づく軌道を描くようになり、指の動きがより自然になりました。
これらはとくに手の小さい人、握力の少ない人達にとって朗報だと思います。


1−6)ブレーキのかっちり感が向上しました
新しいデュラエースでもっともプロ選手達に評判がいいのがブレーキシステムだそうです。7900系ではブレーキシステム全体が設計変更されており、レバーがワイヤを引く量(レバーをたとえば1ミリ引いたときに何ミリワイヤが引かれることになるか、すなわちテコ比)が従来のレバーと異なっています。これによりブレーキシステム全体で見たときに受けているストレスを減らし、ブレーキシステム全体に生じるたわみ・変形量を抑えてかっちりしたブレーキ感覚を生み出しています。

 仕組みを説明するとこういう感じです。レバーがワイヤーを引くときと、ワイヤーがブレーキアーチを引くとき、この二つのポイントではテコの原理が働きます。一定のブレーキパワーを発生させようとするときに、二つの異なったシステム設計が考えられます。すなわち入力側であるレバー部分で大きなテコ比を生み出す(その結果ブレーキアーチ側ではあまりテコ比を上げないことにする)システムと、その逆で出力側であるブレーキアーチ部分で大きなテコ比を生み出すシステムです。
 これらの二つにおいて中間部分であるワイヤが伝達する力の大きさを比較すると、レバーで大きなテコ比を生み出す前者のシステムでは後者より大きな力を伝達する必要があります。すなわちシステム全体で見た場合、より多くの部分が大きな力にさらされており、そこで大きなたわみ・伸びがより多く発生しシステム全体の剛性が低下するのです。
 最新の7900系のブレーキシステムでは、後者のブレーキアーチ部分でテコ比を上げる設計をとることで中間部分の負担を軽減してシステム全体の剛性をあげ、結果としてかっちりとしていてコントロールしやすいブレーキシステムを生み出しているのです。

なお、新しいレバーに従来の7800系のブレーキアーチを組み合わせると、7800系純正のシステム構成に対して85%のブレーキパワーしか発生できないそうです。これはやや危険な組み合わせといえると思います。一方逆に従来のレバーに新しいブレーキアーチを組み合わせるとブレーキパワーが上がりすぎ、コントロールが効かずにいきなりホイールロックを起こす大変危険な組み付けになるので絶対に避けるべきでしょう。

1−7)ブレーキ関係その他
◆MTBのディスクブレーキ用レバーに早送り&倍力機構「サーボウェーブ」を搭載したものが登場、ブレーキパワーが向上しました。女性・ジュニア用のロードバイクにもぜひ搭載して欲しい!と思います。

◆またデュラエースのブレーキレバー部分に手の小さいひと用のリーチアジャスター機構が搭載されました。これは最高級コンポデュラエースとしてははじめてのことです。ようやくこれで手の小さい人でもきちんとレバーを操作できるようになりました。(余談ですが自分はT大学選手であった1990年代初頭からずっとシマノにリーチアジャスターの搭載を要望してきました(笑))

ただ、すでにティアグラのSTIレバー及びST−R700(アルテグラ相当のコンポ外製品のレバー)にはリーチアジャスターと同等の機能のアジャストシムが搭載されていますので、これらを使うのもよいと思います。


1−8)心臓の動きがわかるサイクルメーター、「サイクリンク」
これはシマノの新しい挑戦ともいえる商品です。レースなどには無関心でむしろ健康の観点から自転車に目を向ける新しい潜在的な自転車ファンたちを引きつけるための工夫が凝らされています。

◆操作が簡単で表示がシンプル。ペダル回転数表示まで大胆にも割愛した簡単操作です。
一番大きな表示は「心拍数」。サイクリンクの目的はちょうどよいきつさで運動をする手助けになること。そのためには速度でも時間でもなく心拍数が一番重要、という考えなのでしょう。
運動強度(きつさ)の4段階表示も図形を用いて常に表示されている。
パソコンにデータを転送し、専用のソフトで蓄積することで「目標管理」「アドバイス」「データ分析」「累計データのグラフ表示」などの有益で楽しい機能がいろいろと使えます。また、この手のソフトにありがちの専門知識を必要としたり使い勝手が悪いという印象もありません。初心者が入ってゆきやすいシステムになっていると思います。
この機能にして標準小売価格¥11,800−税込、というのは競合製品に対してかなりの脅威となる価格設定ではないでしょうか。


2)ミズタニ自転車展示会

シマノのセミナーがあまりにも内容濃厚だったので(?)ミズタニさんの展示会はさらっとのぞいてきました。日本では従来あまりなじみのないイタリアンブランド、チョッチ(CIOCC)のバイクが正面に展示してありました。値段と仕上げ、最近の流行を考えるとクロモリスチールのロードバイクフレームが注目です。

写真はこちらから(外部リンク。ピカサ。別ウィンドウで開きます)

チョッチのバイクはハイロードでもお取り扱いが可能です。納品は2月末以降から順次可能になる予定ですが、各モデル、カラー・サイズともかなりの小ロット入荷となるのでご興味のある方はお早めのご検討がいいと思います。

クロモリモデルは各モデルとも5色(ホワイト、マットブラック、ブルー、レッド、グリーン)、4サイズ(伝統の芯芯表記で47,49,52,55)の展開となります。

◆クロモリ最上級モデル、サン・クリストバル 
フレーム&フォークセット ¥199,950−税込

◆クロモリ中級モデル、レプリカ
フレーム&フォークセット ¥178,500−税込
※外見上はメッキ処理の位置などがサンクリストバルと異なります。

◆クロモリピストモデル、モスクワ80
フレーム&フォークセット ¥168,000−税込
というのもあります。

◆カーボンモデル、ライドンSL
フレーム&フォークセット ¥262,500−税込
は値頃感があり、ブランドの希少性からも注目のモデルです。

写真はこちらから(外部リンク。ピカサ。別ウィンドウで開きます)


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