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スポーツバイク・ハイロード
「異次元のフィッティング・受注システム、」
アンカーの「RMZ」と「AFシステム」取材記

作成2009/10/08

去る10月7日、アンカーの最新ロードバイクフレーム「RMZ」と、そのオーダーにあたって必須となる新しいフィッティングシステム「アンカー・フィッティング・システム(AFシステム)」についてお話を伺うべく、埼玉・上尾のブリヂストン上尾工場を訪問してきました。

つい先週ホノルルセンチュリーライドでお世話になったばかりの渋谷氏・藤田氏に加え、技術面については出井氏も加わった3人にご応対して頂き、1対1ならぬ1対3で数時間にわたり詳細な技術面にもつっこんだ説明をしていただくという得がたい機会をいただくことができました。

新しいモデルRMZもすごいが、なにより新しいAFシステムが圧巻でした。2010年1月予定の受注開始が待たれます。以下をどうぞご覧ください。

今回の訪問のミニアルバムはこちら(別ウィンドウにて)


1)異次元の緻密な受注システムに支えられた最新モデル「RMZ」


(写真は藤田氏の実戦バイク)

最新モデル「RMZ」についてのメーカーサイトはこちらから(別ウィンドウにて)

48万円(フレームセット、税込み)という価格は、欧米のブランドバイクに慣れたユーザーにとってはさほど奇異には映らないかもしれないが、従来の最高峰モデルRHM9のほぼ2倍となる「超級」の価格設定です。この設定にアンカーが盛り込んだ価値、それが「パーソナル・マッチング」というコンセプトでした。

フレーム単体の仕様としてみるとサイズの選択のみならずフレームジオメトリーの微調整も可能で、しかも7パターンから剛性を選択することができるという自由度の高い設定によってライダーの希望に限りなくマッチしたフレームを制作することが可能です。その上、オーダーの過程には乗り手の各関節角度を考慮に取り入れた専門のフィッティング工程を取り入れ、さらにはそこでライダーの能力をも測定して数値化し、ライダーに最適なフレーム剛性を提案してくれるというきめの細かい受注体制になっています。

これまでアンカーが営々として築き上げてきた「バイクを個々のライダーに応じて最適化させるノウハウ」の精髄がついにフレームオーダーという次元でユーザーの手に届くものとなって現れたのがこのRMZなのです。

このRMZは日本人の体格に合わせて企画され、身長150〜185CMの範囲で乗車可能となっているということです。ただし本格的なレース使用であれば実質上155cm以上が適応身長とうことでした。

シートポストがフレームと一体化されたインテグラルシートポスト設計で、高次元の軽量化と剛性を達成していますが、標準では15mmのサドル高さ設定幅が与えられています。サドルやペダル・シューズなど機材の変更でこれ以上の変更幅が必要になったときには別売りの70mmシートポストキャップ(標準は50mm)に変更することで最大35mmの調整幅が得られるとのことでした。また、近年はやりのカーボンレールサドルにも対応できるよう、特殊形状のシートレール受けパーツが標準で同梱され、通常の丸レールのサドル以外でも問題なく使用できるよう工夫されています。

RMZで注意しなければならないのが、「本格競技志向」の製品であるということでしょう。フレーム剛性設定についてみても、受注時のフィッティングシステムの構成を見ても、ファンライド・サイクリング志向のライダーの好みを反映する仕組みになっていません。「最高級だから最高に乗りやすいだろう」という期待は、ファンライド・サイクリング志向のライダーにとっては期待はずれになる危険があります。そういう志向に向けてはアンカーではRFX8をはじめ別の製品を用意して対応しています。

本格走行に慣れた、ある程度経験のあるライダーにとって「かつてないバイクとの一体感」を提供するためのシステム、それがRMZとそれを支えるAFシステムなのです。

最新モデル「RMZ」についてのメーカーサイトはこちらから(別ウィンドウにて)


2)アンカー・フィッティング・システム(AFシステム)


(これが話題のAFマシン。フィッティングしながらパワーと心拍を測定し剛性提案を行う)

新モデルRMZのコンセプト「パーソナル・マッチング」を支え実現するためのフィッティングシステムがこのアンカー・フィッティング・システム(AFシステム)です。

AFシステムではエアロバイクに類似した専用の測定台(AFマシン)を使用し、またパソコンを使ってWEB上でアンカーのサーバーに接続しながら解析を行います。

AFシステムの手順手順は大略以下のように進めます。

  1. アンケート調査と採寸
  2. 推奨ポジションの算出(一次ポジション)
  3. ポジションの微調整(二次ポジション)
  4. フレーム剛性提案のための体力測定
  5. フレームジオメトリーと剛性の選択

注)以下の手順内容はすべて取材時点における開発中の仕様です。実際のシステム運用開始時には変更される可能性があります。

2−1)アンケート調査と採寸
アンケートでは以下の項目が確認されます。

体格の採寸ではガススプリングをを使用した専用測定器で股下寸法を測定します。測定誤差が少なく素早く作業できる設計になっています。下記の一次ポジションは体格データとしてはこの股下寸法のみを用いて統計的に算出されます。

2−2)推奨ポジションの算出(一次ポジション)
1)で得られたデータをインターネットを介してアンカーのサーバーに送ると、仮のフィッティング寸法である1次ポジションが算出されます。
一次ポジション算出時にはサドル長さやハンドル幅といった使用機材についてのデータも投入されますので、自分の使い慣れたサドル・ハンドルを使用してより精緻なフィッティングを行うことができるようになっています。

2−3)ポジションの微調整(二次ポジション)
一次ポジションを元に微調整を行い、実際に個々の選手の体格に応じた具体的なポジションとなるのが次に作られる二次ポジションです。

2)で算出されたデータを専用の測定台「アンカー・フィッティング・マシン(AFマシン)」にセットアップして、ライダーに着座してもらい微調整をします。希望により自分の使い慣れたサドル・ハンドルを取り付けてフィッティングすることも可能です。

二次ポジション作成では、クランクを水平に保持した状態で「膝の前後位置」「膝の開き角度」を適切にするようにサドル位置を微調整します。これでサドル位置が決定されます。ついで胴体と上腕のなす角度である「肩の角度」と、水平線と胴体の角度である「腰の角度」を適正にするようにハンドル位置を微調整します。これでハンドル位置が決定されます。

膝の前後位置や各関節の角度はすべて選手の体を実際に測定器で測って確認します。また、ここで推奨される角度は「選手としての走行にふさわしいポジション・体の使い方」を導くためのものなので、ゆっくり走る目的のライダーは注意が必要です。

2−4)フレーム剛性提案のための体力測定
二次ポジションが決まったら、次はフレーム剛性を決定するための体力測定を行います。剛性の決定は選手の好みの要素も大きいので、この測定をしないで剛性の指定をすることもできるようになっています。体力測定をする際には、AFマシンの測定機能を使って、ペダル回転数を一定に保つようにしながら心拍数と発揮パワーをモニターします。AFマシンはC社のエアロバイクを元に制作され、このような高度な測定が可能な構造になっています。

測定はやや軽い運動強度での2分間を連続3セット、都合6分間のセッションで終了します。このセッションでの心拍数の変動傾向などの値からその選手が発揮可能な有酸素パワーが算出され、それに応じてフレーム剛性に関するアンカーの推奨値が決定されます。

2−5)フレームジオメトリーと剛性の選択
上記で収集された二次ポジションデータ、アンケートによる剛性や運動性能の好みのデータ、有酸素パワーデータなどに基づき、フレーム寸法とジオメトリー、フレーム剛性についての製作パターンがいくつか提示されます。この選択肢の中から最終的には選手の好みや将来の乗り方の変化の予測などを織り交ぜて一つの製作パターンを決定します。この過程でアンカーから提示された製作パターンに再度修正をかけることも可能です。

フレームジオメトリーの基本にはアンカーがRHM9の設計において確立した標準ジオメトリーが使用され、ここからシートアングルでプラスマイナス0.5度、トップチューブ長さでプラスマイナス5mm、ヘッドチューブアングルでプラスマイナス0.5度の変更が可能です。もっともこの変更幅は暫定のもので、アンカーらしい運動性能を維持しつつより自由度を広げる設定変更の作業中とのことでした。またヘッドチューブアングルはライダーが数値で指定することはできず、運動性能に関する好みに基づきアンカーが算出決定します。

フレームの剛性パターンは7段階で用意されており、剛性を直接指定したいライダーにもそれぞれの特性が理解しやすいように選択画面には丁寧な説明文が用意されます。またこのパターン変更はパイプの特性変更によって行われ、パイプを接合するラグは同一のものが使用されるとのことでした。


3)大きな可能性を秘めた「AFシステム」に注目!

このAFシステムはきわめて画期的なものだと思います。単にRMZという上級競技者向けモデルを緻密にフィッティングできるシステムというにとどまらず、将来の可能性としては、アンカーのすべてのモデルで(希望に応じ、場合により別料金で)このフィッティングをして最適なポジションとフレームサイズを購入時に選択できるような方向も考えられます。これは当店で現在すでに各社のロードバイク販売時に標準として行っているバイクフィッティングと同程度の詳細な作業を、アンカーラボのノウハウとサポートのバックアップを得ながら全国のアンカーショップが提供できるようになる、全国のライダーがその恩恵に浴するようになるということです。

街を走っている「いかにも自転車が体にあっていない、かわいそうなライダー」が減り「本当にぴったりなバイクに乗る喜び」をたくさんのライダーが実感できるようになるでしょう。何ともすばらしいことです。
 そしてこのように「正しく自転車に乗れる喜び」をたくさんの人が実感することが、これからもっともっとスポーツサイクリングという趣味が成長してゆくための礎になるはずだと自分は思います。

ですので自分はこのAFシステムが近い将来初級者向けのフィッティングも扱えるシステムに成長してくれることを強く願っています。

つねに日本のスポーツサイクリングシーンを大きく見渡しながら活動してきたブリヂストンアンカーならではの思い切った「次の一手」、それがAFシステムです。

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