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「シーラント&チューブレス大特集」

作成2011/09/09

東京も最近ようやく朝晩涼しさを感じるようになってきましたが、日中はまだまだ残暑が厳しいですね。今日は32度まであがりました。この夏は研究を要する新製品が多くてずいぶん掲載が遅れたものがありますが、その”借金返済”第1弾としてこの大特集をお送りします。字が多くてどうもすいません!


今回は大きく2つのジャンルの商品を紹介します。


1)新規格「チューブレス」

1−1)「チューブレス(TL)」とは?
80年代までロードレース用タイヤは「チューブラー」規格だけでした。これはタイヤの内側にゴムチューブを 入れて袋縫いに一体化させ、このドーナツ状のタイヤをリムに接着して固定する仕組みです。

チューブラーのメリット

チューブラーのデメリット

このようなチューブラーの問題点を克服すべく90年代から急速に普及したのが「クリンチャー」規格で「WO(ダブルオー)」とも呼称されています。これはタイヤの中に収まったチューブに空気が入ってふくらむと、その圧力でタイヤ両脇の厚くなった部分(ビード)がリムに設けられたフック(ビードフック)に押しつけられ、この圧力でタイヤがリムに固定される仕組みです。

クリンチャーのメリット

クリンチャーのデメリット

第3の規格である「チューブレス(TL)」は前の二者と異なりインナーチューブを持っていません。イメージとしてはクリンチャーのリムにチューブなしでタイヤを載せてエアを入れふくらませたような構成となります。

商品としてはユッチンソン(ハッチンソン)とIRCがタイヤを積極的に発表しており、マキシス、ボントレガー、スペシャライズドなどもTLタイヤを発表しました。対応ホイールとしてはシマノ、カンパニョーロ、フルクラムにTL対応のモデルがいくつもあります。イーストンも2012年にはTL対応ホイールを発売します。
TL対応ホイールのほとんどはクリンチャータイヤの使用も可能な互換規格となっているのが現状です。

TLの利点としては、まずチューブがなくなるのでその接地変形によるエネルギーロスがなくなり転がり抵抗が低減します。またチューブがない分だけタイヤ内部によりたくさんの空気を入れることができ、より太いタイヤに近い高いクッション性能になります。
次にチューブがないため、チューブが路面の凸部とリムとに挟まれるように圧迫されて起きるタイプのパンク(ピンチフラット。低圧走行で起きやすい)が原理上起こらず、その分低圧で走ることが可能になります。この結果さらに走行感覚はしなやかになります。これらによってチューブラーに迫るしなやかな走行感覚を実現しました。

自分青山の走行感覚からすると「重量や転がり抵抗を増やさずにやや太目のタイヤを使っているような感覚」です。クリンチャーでもチューブラーでもタイヤを太めにすると、やや低圧でも「腰砕け感」なしにしなやかに走れ、またブレーキングやコーナーリングでのグリップ感が高く安心になりますが、その反面で重量や転がり抵抗が激増するのが通常です。
自分が現在使用中のTLタイヤはこのような太目タイヤのデメリットを全く感じさせずにメリットだけを備えたような、今までにない走行感覚です。とくにグリップ感の高さは高級チューブラーに勝るとも劣りません。エア圧については今までのクリンチャータイヤに比べて0.5気圧ほど下げたあたりが自分にとっては最適な感じです。

またチューブラーに比較したときのクリンチャーのメリット、すなわち装着の安定性・安全性、低コスト、縦ブレ軽減などはほぼすべて継承しています。とくに装着の安定に関しては「パンクしてから停止するまでの安全性」という点ではTLのほうがクリンチャーよりもむしろ優れているようです。

他方でTLタイヤの欠点というのも幾つか存在します。

これらについて解決ないし低減する商品が最近になっていろいろと登場してきました。

1−2)タイヤの装着に力がいる?
最近シマノのWH−6700という手頃なTLホイールにIRCロードライトという中級TLタイヤを装着してみました。「石けん水を使う」「ビードをリムセンターに入れる順序を考える」などIRCのウェブサイトで公表されている方法をちゃんと守って装着を試みたところ、あっけなくタイヤを装着・加圧できました。もちろんタイヤレバーは不要でクリンチャーの標準的なタイヤよりもむしろ容易に嵌めることができたくらいです。

 念のためTLタイヤ用タイヤレバーを用意しておくことはもちろん賢明ですし、慣れるまでは違和感があるかもしれませんが、きちんと手順をまもれば「タイヤの装着に法外な力がいる」ということはないのではないかと思います。装着に関してはむしろ装着作業後に規定内圧限界まで一度内圧を上げて、タイヤビードがリムに完全になじむようにすることのほうがエア漏れを予防する面で重要かと思います。

1−3)パンクしたときの対策
現在のTLで最大の課題がこの点です。穴があいたTLロードタイヤを確実に修理する資材が今までありませんでしたので、パンクしたときはバルブをリムから取り外してタイヤの内側にクリンチャー用インナーチューブを装着し、クリンチャーとして走行するというのが定番のパンク対策です。しかしこれではせっかくのTLのメリットが台無しで走行性能が落ちてしまいますので万全とはいえません。

このように突き刺しなどで穴があいたTLロードタイヤを確実に修理する資材が今までありませんでしたが、このほどシマノから耳寄りな商品が登場しました。

シマノ・マルニ 
スポーツバイク用パンク修理キット タイヤインサイドパッチ チューブレス&クリンチャー対応
価格¥880税込

ナイロン繊維入り特殊パッチ5、ゴムノリ1、サンドペーパー1、携帯用ポーチ1、手順書1のセット

何とも長くて要を得ないネーミングですが、要するに今までのパンク修理パッチがチューブに貼るものであったのと異なり、タイヤの内側に貼ることができるパッチのセットです。ナイロン繊維入りなのでタイヤにかかる内圧に耐えて裂け穴をふさぐことができます(クリンチャーの場合チューブが穴からはみ出るのを防ぎます)。またTLであれば気密性を回復します。

TLタイヤのより確実・永久的な修理手段として有力なだけでなくクリンチャータイヤの修理資材としても便利そうです。


(説明書が秀逸!)

TLタイヤでのパンク修理の第2の関門は空気を入れる段階です。チューブレスではある程度空気圧をかけることでリム上の定位置にタイヤビードがきちんと乗る(「ビードが上がる」といいます)ようになっています。ショップではフロアポンプで一気に加圧することで問題なく空気を入れることができますが、携帯ポンプでどこまでできるのかはちょっと疑問もありました。
 今回自分がテストしたところでは、上記の組み合わせ(シマノWH6700+IRCロードライト)だと携帯ポンプでも初期のエアもれなしにタイヤに加圧しはじめることができました。また思い立ってCO2カートリッジで加圧してみたところ、一瞬で7気圧強までエアが入り、ビードもしっかり上がりました。TLのパンクにはCO2カートリッジがあると安心のようです。

1−4)クリンチャーホイールで何とかTLロードタイヤを試してみたい、という方へ(参考)
※「今お気に入りのクリンチャーホイールがすでにあるので新たにTL用ホイールを購入したくはないが、評判の良いTLタイヤをおためししてみたい」という、ハイロード青山と同じような気持ちの人向けの情報です。この節の情報はすべて自己責任でご活用ください。

クリンチャーホイールをTLで使うには、まずリムの気密を確保しなければなりません。マビックのキシリウムSLなどはリム内側(アウトサイドウォール)にニップルホールが空いていませんので好適です(キシリウムシリーズをTL化してしまった例を見たことがあります)。ニップルホールが空いているホイールではリムテープを活用する必要がありますが、そのための商品があります。

NoTubeリムテープ 21mmx10Yard(9.14m)
価格¥1470税込

リム一巻きわずか5gという超軽量級のリムテープです(通常は20〜30g)。もっとも強度が低めなので低圧のMTBでは1枚で十分ですがロードでは2巻きすることになっています。それでもリム1本あたり10gと相変わらず超軽量です。クリンチャーで使う人にもお勧めできます。
 21mmという幅は広すぎではないかと思ったのですが、シマノのホイールおよびやや古いカンパニョーロのホイールに使ってみた限りではしなやかにリムの内側になじむ感じでこれでちょうど良い幅のようです。

注意としては強度が低いので使っているとニップルホールの部分がくぼんできます。そうするとタイヤを再度装着しようとしたときにエアが漏れてしまいうまく嵌められません。そうなったら変形したテープをはがして新しい物を張り直すか、古いテープの上からもう一巻きするかする必要があります。

次にリムに空気を入れるためのバルブをつけないといけません。そのための商品がこちらです。

NoTube チューブレスバルブ 44mm
価格¥2100税込

フレンチバルブ シマノ・イーストン・マビックなど多くのメーカーのリムに対応

このバルブはあとで出てくる「シーラント」を使えるようにバルブコアが外れる構造になっています。

TLではホイールからのエア漏れを全体として少なくしていかなければなりませんが、バルブをリムにしっかり取り付けることはこの点で重要です。ただしパンクしたときにインナーチューブを付けるために出先で取り外すかもしれませんし、バルブ基部のゴム部分が壊れるかもしれないので締めすぎは禁物です。手順書通り「手でしっかりと締める」というのが最善です。また使用開始しばらくは時々増し締めしてあげるといいでしょう。

ここまでやってからいよいよタイヤを載せてみるのですが、自分がIRC「フォーミュラワン・チューブレス・ライト」というタイヤ(以下「ライト」と略)をカンパニョーロの「ニュークリオン」という旧型ホイールに載せてみたところ、まず載せるのが非常に大変で、タイヤ内側のエアシール層を傷つけないようおっかなびっくりIRCのTL専用タイヤレバーを使いつつ無理矢理載せました。しかしそのあとはほぼ一発で空気が入り、無事に使用することができました。

ところがシマノのやや新しいホイール(WH−7800−C24−CL)で同様にしてみたところ、リムにタイヤを載せるのはむしろ「ゆるゆる」で、リムセンターがタイヤビードと密着せず、エアを入れることがどうしてもできませんでした。もともとTL規格のホイールではないのでうまくいかなくとも当然で、最初のカンパニョーロホイールのときは単に運が良かったのだということがわかりました。

しかしここで現在お気に入りのシマノホイールのTL化をあきらめてはいません。すでにTLタイヤの良さを実感してしまったので、ぜひお気に入りのホイールにTLタイヤを付けて使いたいのです。「リムセンターとタイヤビードが密着しないのが問題なら無理矢理そうさせるまで」といろいろ画策していますが、実験は今月末のホノルルセンチュリーライドが終わるまでお預けです。

1−5)無理な改造をする気にさせた高性能タイヤ

IRC「フォーミュラワン・チューブレス・ライト」
価格¥9975税込

700x23C規格 チューブレス 超軽量240g(実測同じ)

「TLタイヤはいいらしい」と噂に聞きながら手を出さないできたのはその重量が300gとかなり重かったからでした。TLではチューブがいらないので高級インナーチューブの重量相当分(約60g)を差し引いてもクリンチャータイヤの240gのものと同等の回転部慣性質量となり、いかにも「重そう、鈍そう」と思っていたのです。

ところがこの「ライト」だとクリンチャータイヤとの上記対比でいくと軽量級の180g相当となり、現在気に入って使っているクリンチャータイヤ「ブリヂストンエクステンザ RR−1SL」とほぼ同じになります。そこであえて大枚を払って実験を試みたのです。

走行感覚は上の記事に書いたとおりでとてもすばらしいものです。さらに軽量タイヤらしからぬトレッドラバーのしっかりした厚さからくる耐久性への安心感が強く、レース・ロングライドなどでトラブルフリーのタフなタイヤが欲しい人でも満足して使えると感じます。上記のようにパンクトラブルに対する対策も色々進んできたので、体の負担を減らしたい超長距離系のライダーなどにぜひ試してもらいたい逸品です。タイヤの減りもなかなか遅くていい感じです。

そのほか、

などの関連商品も揃っています。


2)パンクトラブル予防に「シーラント」

タイヤチューブやTLタイヤの中に入れる特殊な白い液体で、5mm程度までの小さなキズ・裂け目であればこの液体が傷口で固化することで穴をふさぎ、パンクによる空気圧低下を食い止めて走る続けられるようにする、というのがシーラントです。

NoTube シーラント 
大(1パイント=16オンス=473ml)¥2100税込
小(2オンス=59ml)¥630税込

※当店で注入作業を行う場合はロードタイヤ1本30mlあたり¥200税込(工賃別途)で提供しています。

注意としてはバルブコアの外れるタイプのバルブ(フレンチ・アメリカンどちらも可)でないとバルブコアが固まってしまいうまくいかないそうです。入れる量はロードバイクでタイヤ1本あたり50〜30mlで十分で、長距離ライドでのパンクリスクを考えたらわずかな重量増だといえるかもしれません。

またチューブレスでシーラントを使う際にはリムメーカーの指示に従う必要があります。シーラントの素材によってはリムのアルミを痛める可能性があるからです。シマノはすべてのメーカーのシーラントをTLで使うことを制限しています。

シーラントをうまくチューブに入れるのにこういう道具があります。

NoTube インジェクター
価格¥1260税込

フレンチ・アメリカンどちらのバルブにも使用可能

入る量が目で見て確認できるし、こぼれる危険も最小限にできます。頻繁に作業する方でしたらぜひお勧めです。当店ではさらにちょっとしたアダプターを付け加えてさらに便利に使用しています。


いかがでしたでしょうか。チューブレスタイヤの軽くて安定した走行感覚に自分青山は大きな可能性を感じます。多くのタイヤ・ホイールメーカーの参入を期待しています。
 また当店では現在他にもGPSサイクルコンピューターなど実地テストを地道に続けているアイテムがあります。どうぞご期待ください。

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