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”自転車天国”台湾を体験してきました!

作成2013/12/10
(2013/12/19)記録ムービーを追加しました。

11月22日から6日間お休みをいただいて、かねて気になっていた”自転車王国”を体験してきました。自分はいっぺんで台湾の大ファンになりました!ぜひご一緒に行ければと思います。どうぞレポートをお楽しみください。

【目次】


1)旅行のきっかけ

いまや”世界の自転車工場”となった台湾。しかも最近は国を挙げて道路の整備はじめサイクリングの普及に取り組んでいるといいます。南国台湾の美しい自然にも憧れつつ、台湾の自転車事情を感じたいという思いがありました。2012年に発行された書籍「銀輪の巨人(ジャイアント)」(野嶋剛・東洋経済新報社)を読んで一層その思いが強まり、ついにハイロード真理子さんと二人で旅行を決意しました。


2)旅の概要

台湾までの移動は個人手配で、台湾で自転車に乗るにあたってはジャイアント系列の旅行会社「ジャイアント・アドベンチャー」(以下ジャイアント)の現地サイクリングツアーに参加しました。現地でも大人気という台湾中部東海岸を3日かけて走るプランです。サイクリングの後は幽玄な峡谷美で知られる太魯閣(タロコ)国立公園を一日観光しました。5泊6日の旅程でした。

費用はジャイアントアドベンチャー主催ツアー(2泊3日、宿泊食費全部入り)が約3万円、往復の飛行機代、タロコツアー、毎日の食費などすべて合わせて一人あたり13万円ほどでした。個人手配でしたので旅慣れた方ならもうすこし節約できるかもしれません。


3)旅を終えて

台湾はとても素晴らしいところでした。サイクリングについては気温22〜25度という実に気持ちの良い天候が連日続き、晴れの日だけでなく雨の日も楽しかったです。連日素晴らしい自然やツアーの提供してくれる立ち寄りポイントを満喫して走りました。

台湾の自転車道路整備は予想通りの素晴らしいものでした。自転車の道路上での位置づけが確立しており、そこでは交通上の弱者としての(歩行者に対しては強者ですが)相応な配慮を受けています。またルールとは別の次元(=マナー)で、自転車を追い抜くときの自動車の気配りなど、とても余裕があって素晴らしいと何度も思いました。自転車行政関係者などはぜひ当地を視察すべきだと強く思います。

また現地ツアーに参加したことには格別の意味がありました。事前に我々は(日本語は通じなくとも)英語で大丈夫だろうと思っていたのですが、実際にはツアーのサポートメンバーは全員基本的に英語ができない方だったのです。一時は途方に暮れかけましたが、ツアーに参加しているほかのお客さんたちが私たちのことをなにくれとなく気遣ってくれ、こちらも自転車の扱い方などでいろいろとアドバイスしているうちにかえって仲良くなることができたのです。これはまったく期待以上でした。

これらが相まって文字通り忘れられない体験となりました。

今回の旅で私たちはいっぺんに台湾の大ファンになりました。なんとか当店ハイロードのお客さんたちを現地に連れて行ってあげたいと思っています。


4)第一日(11月22日。日本から台湾へ、そして地方都市鳳林フェンリンへ)

●この日のアルバムはこちら(別ウィンドウにて)

羽田を8時半ごろ発つフライトで約4時間、時差で1時間巻き戻って11時半過ぎに台北・松山空港に降り立ちました。天候は曇り。気温は20度以上あります。この日のうちに地方都市鳳林フェンリンへ移動する予定で、途中の花蓮ホワレンまで国内便の飛行機を乗り継ぐのですが1時間半ほど自由時間があるので、空港から台北市内に出てちょっぴり散策しました。

台北市内は地下鉄(MRT)が発達しています。これを使って市内へ。永康街という古くておしゃれな街をちょっと散策し、地元の家族が行くような小さな店で麺を食べました。あっさりしているのに何とも言えないエキゾチックな風味で、異国情緒を一気に掻き立てられました。


(台北の象徴、台北101ビル。繁華街は歩道上に自転車レーンがある)

ホワレンへのフライトはわずか30分。プロペラ機は初めてでしたがパワフルだし静かで快適でした。ホワレン到着は15時半、大雨です。がっかりしながらとりあえず駅へタクシーを飛ばします。タッチの差で急行列車を逃してしまい、長距離バスで鳳林フェンリンを目指すことにしました。雨のなか日が暮れてしまい、17時にバスが発車、丸1時間揺られてようやくフェンリンにつきました。真っ暗な田舎町の真ん中で、列車の駅(火車站ホジュジャン)がどこかもすぐにはわからないありさまです。

雨は小降りになっていましたが見知らぬ場所でタクシーも見当たらず、さてどうしようかと二人で思案していると、駅に向かって小走りに駆けてゆく女性が私たちに英語で声をかけてくれました。
「あなたたち困っているの?」
「いやそうでもないが予約した宿に行く方法を考えているところなんです」
「ちょっと待ってね」と電話を取出し、
「今旦那が近くを車で走っているから呼んであげる、宿まで送ってあげるわ」
といってくれました。すぐにご主人が登場、送迎中だったらしくお子さんが二人車の後部に座っています。そしてあっさり宿まで送ってくださり、お名前も告げずに去って行かれました。私たち二人ともすっかり驚いてしまいました。

宿はジャイアントがおすすめしてくれた民宿で、四人部屋一泊が約6千円(朝食付)、これで二人分です。安いだけでなくとても小ざっぱりした快適なコテージでした。宿の方も英語片言、日本語片言でしたがとても親切にしてくださり、夕食をお願いすると夜8時過ぎになりました。初めて触れた台湾の人たちの心遣いに驚き喜びつつ、旅の疲れも相まって早々に就寝しました。


(気に入ったプロペラ機)


5)第二日(11月23日。サイクリング初日。フェンリンから瑞穂ルイスイへ約40q)

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★サイクリング三日間のルートマップ(写真入りGPSマップ)(別ウィンドウにて)

朝7時ごろ鶏の声で自然に目覚めました。外は明るいくもり空。予報はこれからの三日間ずっと雨だったのでこれは吉報。
8時朝食、おかゆ中心の中華式。9時過ぎに別れを惜しんで出発。
9時半前に駅に着くとツアーのサポート隊が到着していてレンタサイクルを組み立て始めています。自分たちも自分の借りるバイクを受け取ってサドル位置や車載カメラなどさっそく調整。ここで英語が使えないと判明し、我々二人とも大いに焦りました。

10時半の集合時間には全員がそろいました。参加者はなんと36名!ロードを借りた我々二人以外の全員がレンタルのクロスバイクです。後で聞いてみると普段はサイクリングをしないという人がかなりいました。日本のスキー場で道具一式をレンタルして遊ぶような感覚です。台湾国内からの人が大半ですが香港人や中華系マレーシア人の人たちもいました。我々二人以外は全員中国語で会話しており、中国語の幅広さ、話者の多さを感じさせられました。

サポートメンバーは4名、うち若手2名が自転車で隊列の前後につきます。リーダー格2人は最後尾のトラックと隊の先頭を走るサポートワンボックス「大白ダーバイ号」を運転します。途中でパンクなどがおきるととりあえず最後尾のトラックから代わりの車輪を出して自転車を走らせ、あとの修理は休憩時間に行っていました。

集合するとレンタルの自転車やヘルメット、新品支給の水筒やチューブバンダナなどが配られ諸注意が始まります。口を付ける水筒を新品支給するのはとてもよかったし、バンダナはヘルメットでの髪の乱れ防止や日焼けどめとしてとても便利でした。ジャイアントのツアー慣れした体制の一端を早くも感じました。
リーダーのウーさんは20代後半のお兄さん。穏やかな口調で参加者をリラックスさせながらゆっくりと準備体操をさせます。急かされるような感じはまったくありません。この人数のしきりとしてはとても上手です。


(参加者が続々と集まってくる)


11時、予定通りサイクリング旅行へ出発です。速度は15〜20km/hととてもゆっくりで、しかもしょっちゅう休憩しながらのんびりと走ります。お買いもの自転車でも走れそうなほどののんびりしたペースで、これなら初心者でも安心でした。コースの途中で林田山リンティアンシャン(日本統治時代の伐採基地)、その近くの食堂で昼食、大富ダーフーの駅前で地元式ティータイム、ゴール手前の商店でおばあさんに台湾の酒をふるまわれるなどさんざん遊んで今日のゴールである瑞穂ルイスイに到着しました。4時過ぎでした。

今夜の宿は昨日と似たコテージタイプの民宿で、小ざっぱりとしているばかりでなく4人部屋なのでとても広々しています。
ルイスイは温泉があるため台湾では憧れのリゾート地です。我々もそのために水着を持参し、露天温泉を楽しみました。夕食は今日一緒に走って仲良くなった人たちと円卓を楽しく囲んで、快い疲労感とともに早々に就寝しました。


(ダーフー駅前のお寺)


6)第三日(11月24日。サイクリング第二日。ルイスイから峠を越えて成功チョンゴンへ約61q)

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★サイクリング三日間のルートマップ(写真入りGPSマップ)(別ウィンドウにて)

この日も爽やかな晴れ。7時起床、7時半には部屋まで朝食が届きました。地元ではごく普通のサンドイッチの一種「ハンバー」です。甘辛い味付けのほぐし豚肉が入っていて独特なおいしさです。
集合は8時半、今朝もゆったりと体操をして時間通り9時に出発しました。ペースは昨日と同様のんびりです。川岸の牧場でホットミルクをいただいたり(温暖とはいえ現地では冬なので)、きれいな緑の街道を快走したり、昼食は峠の入り口のホテルでゆっくりいただいてうたた寝するほど休憩しました。

午後一番にはこのツアーで唯一の歯ごたえのある峠を登ります。ずっとヤシの木が生えていて、南国情緒のある登り坂です。サイクリング未経験の人たちも大いに頑張って全員大きな遅れもなく登り終えました。頂上の2キロ半あるトンネル(玉長ユウチャン隧道)の出口で一服、今度は下りの諸注意を受けます。一人づつ時間を空けて出発させること、速度制限やこの先の道路状況などを白板で明示していることなど、またしてもジャイアントの旅慣れた体制に感心しました。


(峠を力走)

急な下りを7キロほど降りると太平洋に出ました。すこし埃っぽい感じですが晴れてきれいな景色です。原住民アミ族の様式の混ざった漁村の家並みを見ながら海岸線を走り、今日も4時過ぎにゴールの民宿に到着しました。今日は日曜日のためか、庭先などで結婚式の宴会をしているところを何度も見かけました。

今日も仲間と楽しく夕食を囲み、9時ごろに予報通り雨が降ってきたのを確認して就寝しました。明日は雨のサイクリングです。


(午後の海岸ルート)


7)第四日(11月25日。サイクリング第三日。チョンゴンから台東タイトゥンへ約68q)

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★サイクリング三日間のルートマップ(写真入りGPSマップ)(別ウィンドウにて)

とうとう予報通りの雨降りです。しかも前線の接近で風も強くなってきました。
7時起床、8時半に集合するとツアーの支給品としてビニールの雨具が配給されました。天候が変わりやすい台湾ではこれが生活必需品のようで地元の人もみな着ていました。今回の我々二人はこれにプラスして日本の百円ショップで見つけたレインパンツを持っていきました。これは濡れや汚れから服を守るのに大変役に立ち、現地スタッフからも絶賛でした。また、ツアーの指示で部屋のシャワーキャップをヘルメットにかぶせて防水しました。ちょっとかわいいが、なかなか実用的です。

雨ですが一同元気で、今日も定刻の9時ごろ出発しました。風は強いが追い風で、走っているほうが風を感じません。この日も走り出して20分ほどでもう休憩です。海に面した展望台で一服、暖かいショウガ茶をいただいてほんわかしました。実際には気温が高いので手足が濡れても寒くならないし、体もほとんど蒸れません。非常に快適なライドでした。

雨は強くなったり弱まったりですが、風はどんどん強くなりました。朝は4メートルぐらいだったものが午後には優に10メートルはあったと思います。これはちょっとした冒険で、横風だったら走るのも危険なぐらいでしたが、幸いなことにルートも風向きも一定で常に追い風となり、実際に危険な思いをすることはありませんでした。

今日は珍しく11時過ぎには昼食場所についてしまいました。たぶん追い風のせいでしょう。原住民アミ族の住居を再現した休憩所で吹きすさぶ海の景色を見ながら地元名物の饅頭(東河包子)とアミ族風チマキという楽しくておいしい食事をいただきました。そのあとも強い追い風に乗って海岸線を南へ進みます。黄金海岸を通過し、海岸の公園では強風にあおられてびっくりしたりしながら快走しました。途中で休んだ元製糖工場では有名タレントのテレビ収録にも出会いました。
こうして3時ごろ、名残を惜しみつつゴールの台東駅に到着しました。このころには雨は止んでいました。


(アミ族住居で昼食)

ツアーの終了も手際よくて感心しました。ツアーの餞別として全員に名物駅弁が配られ、返却した自転車はどんどんとトラックに積み込まれていきました。この後150kmほど離れたホワレンの基地まで帰るのだそうでした。

我々はこれから列車で移動して今夜はホワレンに泊まる予定でした。台北に帰る参加者たちもおおかたは同じ列車を予約していて、6時前の発車時間まで駅でも一緒に楽しく過ごしました。我々は台東駅前のジャイアントのレンタサイクルショップを覗いたりしました。列車は広々として清潔で、駅弁を楽しんだりして2時間弱の旅もあっという間でした。
8時前にホワレンに到着、予約したホテルは文字通り駅の目の前でした。


(名物駅弁、池上弁当)


8)第五日(11月26日。太魯閣(タロコ)国立公園を一日観光)

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★タロコから台北のルートマップ(写真入りGPSマップ)(別ウィンドウにて)

今朝も晴れました。ホテルで朝食をして、8時半に予約してあったタロコへのバスツアーに参加します。このツアーも英語が通じなかったのですが、ガイド兼運転手のワンさんは慣れた方で英語の書かれたパネルを持参されていて、何ら不自由なく楽しませてもらいました。

タロコ峡谷は日本のサイクリストには総距離100キロ、上昇高3600メートルという凄いレース「台湾KOMチャレンジ」で知られています。台湾の国土は固い大理石の急峻な山岳地形で、もともと台湾を横断する道路はなかったそうです。山奥に原住民のタロコ族がひっそり暮らしていたところに国民党政府が上陸するとほんの数年のうちに固い大理石の岩肌を穿って台湾東西を横に貫く道路を作り上げたのだそうです。その工事にはたくさんの犠牲者も出たそうで霊廟(長春祠)が設けられていました。


(タロコの入り口)

その昔原住民の人たちが岩肌に溝を付けるように設けたとおぼしき細い人道や、イワツバメの巣があるという岸壁を眺めながら歩ける燕子口(えんしこう)など面白く美しい景色をたくさん楽しみました。ツアーのマイクロバスが最後に立ち寄った海岸、「七星潭(しちせいたん)」もとてもきれいなところでした。


(燕子口(えんしこう))

この日の夕食は台湾の名物屋台ご飯を食べようということになりました。サイクリングで知り合った台北の女性Dさんのお勧めにしたがってここホワレンの自強夜市ヅーチャンイエシーに出かけました。タクシーを降りてから見かけた自転車店をちょっと覗いたりしてからいよいよ夜市へ。期待どおり色とりどりの屋台が並んでいて行列もできていました。そこで気になったものをちょっとづつ片端から食べるという楽しい夕食になりました。


自強夜市ヅーチャンイエシー


9)第六日(11月27日。ホワレンから台北へ、そして帰国)

●この日のアルバムはこちら(別ウィンドウにて)

★タロコから台北のルートマップ(写真入りGPSマップ)(別ウィンドウにて)

タクシーでホワレン空港まで移動、10時発のフライトで台北へ移動しました。今回もお気に入りのプロペラ機でわずか30分です。ホワレンは軍基地と併設なので写真は禁止でした。機窓からは昨日出かけたタロコ峡谷への入り口がはるか下に見えました。


(名残惜しいタロコ(立霧川)の河口)

10時半過ぎに台北につくと大変なことが待っていました。なんと一昨日までのサイクリングで知り合ったDさんが空港でお出迎えしてくれたのです。彼女は我々のフライトを知っているわけではなく「たぶんこの便だろう」とおみやげまで用意して仕事中に抜け出してきてくれたのです。本当に驚きでした。

Dさんとの再会と再度の別れを惜しんで今度は台北市内へ行きました。帰国便までだいぶ時間があるのでそれを利用しようというのです。今回もMRTを活用して今度は市政府前駅へ。地下鉄を降りると高級デパートなども立ち並んでいて、東京以上にきれいでゆとりのある街並みに感心しました。大型書店で地元の音楽CDを購入したり、老舗の点心店「度小月」でおいしいタンツーメンをいただいたりと寸暇を惜しんで遊んでから空港へ戻りました。

帰国便は気流の関係でとても速く、しかも今回はさらに予定が早まって3時間弱のフライトで羽田に降り立ちました。時差の関係で時刻は午後7時過ぎです。こうして無事に8時半ごろ品川の自宅に帰りつきました。


(老舗の点心店「度小月」)


10)旅のヒント

今回の旅行の前にこういう情報に触れていきました。参考になったり興味を掻き立てられてとてもよかったと思います。

書籍 銀輪の巨人(ジャイアント) (野嶋剛・東洋経済新報社)

映画 練習曲 Island etude (2007)
台湾一周(環島ホァンダオ)に挑戦する若者を通じて台湾の国土が描かれています。

映画 海角七號(ハイジャオチーハオ、2008) (君想う、国境の南)
台湾南端の恒春市を舞台に日台の新旧をつなぐラブストーリー。

映画 Beyond Beauty (2013)
空撮を駆使して台湾の国土と暮らしを描き、2013年金馬賞ドキュメンタリー部門賞を獲得した作品。今回の旅行で知り合った方に強く勧められました(よさそうなのですが自分はまだ未見です)

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